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住宅に関する永遠のテーマ。それは、マンション暮らしか、一戸建て暮らしか。これから住宅の購入を検討している方が大変悩まれる問題です。一生に一度の大きな買い物で、後悔はしたくないですね。ただ、一概にこっちが良いから、みんな買いなさい!とは言えないために、ご自身やご家族のライフスタイルに合わせて、よく考えて選択することが必要です。判断材料の1つなるよう、今回はマンションと一戸建てで金銭面や生活環境がどのように変わるのかを紹介していきたいと思います。
1. 費用面
まずは、判断基準の1つともなる費用面から比較していきましょう。購入価格はもちろん、考えなければいけないのは生涯コストと合わせた総額でかかる費用です。購入価格がメインに考えられがちですが、実はそれ以外にも発生する費用があるんです。
1-1. 購入時にかかる費用
物件の購入価格のほかにも、実はいろいろと費用が発生します。契約書の印紙や、登記にかかる登録免許税と手続きをする司法書士の手数料、火災保険料・地震保険等が代表的です。そして、売買の仲介をしてくれた不動産会社がいる場合には、仲介手数料が発生します。新築マンションや不動産会社が売り主の場合には必要ありません。
1-2. 管理費や維持費はマンションだけ
マンションには住宅ローンの返済とは別に、管理費や修繕積立金、駐車場使用料金等、月々の諸経費が実は多く発生します。さて、管理費とは何に使われるのかと言いますと、管理人さんが常駐していたり、エントランスが綺麗に掃除されていたり、防犯カメラが設置されていたり、何かあったらここへ連絡すると言う管理会社がいたりと、このマンション全体を日常的に管理する費用ということです。
もうひとつの修繕積立金とは、マンションの外装やエレベーターの交換等、長い間使用し、修理が必要となった際に使用される工事費用として積立られている費用です。
これらは住宅ローンが完済した後にも払い続けなくてはいけませんので、老後は少し負担が大きくなると言えます。
一戸建ての場合には、月々の費用はありませんが、外装工事や庭のお手入れなどは自己負担となりますので、計画を立てて貯金をしておく必要はあります。
マンション、一戸建てに関わらず、住宅設備の修理や交換、リフォーム工事には別途費用がかかります。
1-3. 支払わなければいけない税金
マンションでも、一戸建てでも、所有をしていると固定資産税という税金がかかります。固定資産税は土地と建物の両方に課せられるのですが、土地評価額と建物評価額それぞれに1.4%の税率をかけて算出されます。200㎡以下の住宅用地は1/6に軽減され、建物が新築の場合には、マンションは5年間、一戸建ては3年間、1/2の軽減措置があります。
多くの方がご存知だと思いますが、マンションと一戸建てでは購入価格に対する土地と建物の比率が大きく異なります。マンションは敷地面積を戸数で割って土地の所有となるために、建物の価格の割合が高くなります。一戸建てはその逆です。例えば、マンションが土地3、建物7の割合の場合、一戸建ては土地7、建物3の割合です。
また、建物の耐久年数は、マンションが47年、一戸建てが22年に設定されており、建物の価値が減る減価償却期間が長くなり、固定資産税を支払う期間に25年もの差があります。
1-4. もし売却をすることになったら
人生は何があるか分かりません。突然転勤が決まった、親の介護が必要となった、子どもが独立し広い家を持て余している。マイホームを手放すことがあるかもしれません。そんなとき、売却がしやすい物件かどうかはとても重要です。なかなか売れない、低価格で売ることになった。手間もかかるし、ローンが残っていたら困ったことになります。購入前に、売却のしやすさを考えておくことも重要です。売却のしやすい物件=資産価値の下がりにくい物件です。マンションの資産価値は、老朽化が進むと価値がどんどん下がります。そこで重要なのが利便性です。駅から近い物件、都心への交通アクセスの良いエリアだと資産価値が下がりにくい傾向にあります。一戸建ては建物の価値がなくなったとしても、土地の資産価値が下がるということにはならないために一定の資産価値を保つことができます。
2. 生活面
では、日々の生活を送る中で異なる部分はどういったことがあるでしょうか。日々の生活をしていく中では、ストレスなく過ごすために、できるだけ後悔をしたくないポイントですね。間取りや設備、セキュリティにご近所付き合い等どのような違いがあるのかを知り、自分たちは何を重要視しているのかを確認していきましょう。
2-1. 広さ・間取り
マンションではエレベーターがあり、室内に段差があることも少ないためにバリアフリーな生活ができます。小さなお子さんがいる家庭や、老後の生活としても安心して生活をすることができます。また、動線がシンプルなこともあり掃除や洗濯の際、スムーズに動くことが出来ます。
一戸建ては建物が独立し、複数階があることで、マンションよりも必然的に床面積は広くなりますが、居住面積では階段部分や駐車スペースも含まれますので、同じ面積の表記であったとしても、マンションの方が居住面積は広くなります。複数階あることのメリットとしては、家族の中でもプライバシーを確保しやすく、子育て世代は思春期のお子様との距離も適度に保つことが出来るということです。
2-2. 建物としての設備
室内の標準的な設備に関しては大きな差がありませんが、マンションには宅配ボックスや24時間利用可能のゴミ捨て場、キッズルームなどの共用施設があることが大きなメリットです。マンションならではのディスポーザーといった設備が付いている場合があります。一戸建てを新築で建てる際には、好きな設備を自由に選ぶことができるという点がメリットです。床暖房を入れたい、お風呂のグレードを上げたい、お風呂には追炊き機能を付けたいといった希望を反映できます。
2-3. 駐車場は物件によって様々
マンションの場合は毎月の利用料金が発生したり、駐車場の形状によっては機械式で入庫・出庫に時間がかかるときもあります。急いでいるときや、荷物があるときには、とても不便に感じることもあります。マンションによって駐車場の形状は様々ですので、購入前に確認が必要です。
一戸建ての場合には、玄関横に駐車スペースが設けられていることが多いために、荷物の出し入れや、カーポートにすれば雨のときも快適に利用でき、もちろん費用は発生しませんね。
2-4. セキュリティ
マンションを選ぶ人の多くがこのセキュリティの充実を決め手にしています。オートロックであったり、エントランスだけではなく駐車場や駐輪場、エレベーターの中などに防犯カメラが設置してあったり、管理人さんや警備員さんが常駐していたりと、居住者以外の出入りをチェックしていることはとても安心ですね。一戸建ての場合には、セキュリティ対策を自身で行なう必要があります。
2-5. 音
ご近所トラブルの基になりやすい音。マンションでは上下左右の部屋が接しているために、お隣の騒音が気になったり、反対に騒音で苦情がくるといったトラブルがあります。音がたたないように気をつけて生活をするのはなんだか少し窮屈ですね。一戸建ての場合は、騒音問題が全くないとは言えませんが、建物が独立しているために、マンションよりは心配が少ないですね。
2-6. 庭
自分だけの庭は、ガーデニングやDIYなどが好きな人にとっては魅力的ですね。マンションの場合には1階の住宅だけ庭が付いていたり、バルコニーが広くとられていたりということもありますが、多くは洗濯物を干して少し余裕があるかどうかのスペースではないでしょうか。一戸建ての場合には好きに土地を使用できるために、趣味を楽しむ空間をつくることができます。
2-7. ペットの可否
家族の一員である動物も、マンションでは飼育禁止のことが多いです。最近では、飼育可能なマンションも増えてきていますが、ルールはマンションによって異なります。大きさや種類、頭数によっては不可であったり、制限付きであったりします。多くの世帯が住んでいるマンションであるからこそ、臭いや鳴き声等でトラブルになることもありルールが設けられています。一戸建てでは独立した建物、土地であるために自由にペットと暮らすことができます。もちろん鳴き声による騒音トラブルがないわけではありませんが、少ないとは言えます。
2-8. 暮らしに合わせた 増改築
費用面の際に、軽くリフォームや設備に関しても触れましたが、基本的には購入した物件の改築は可能です。しかし、マンションの場合には規約や制限が多くあり、もともとないものを追加することが難しかったりもします。追炊き配管がない物件では、追加で配管を通すスペースがなく諦めるしかないということや、インターフォンの位置を変えられないこともあります。一戸建ての場合にはその制限は少なく、自由に改築ができ、土地に余裕があれば増築することもできますので、自由度が高いですね。
2-9. ご近所付き合い
マンションは多くの世帯が同じ建物に住んでいるため、多くの人と付き合いがあると思いがちですが、実はそこまで密接なお付き合いはない、というのが現状です。エレベーターで一緒になったら挨拶をしたり、少し立ち話をしたり程度で、階や部屋が離れていると全く知らない人もいらっしゃいます。一戸建ては地域のメンバーとして自治体への参加や役割が分担され、古くから住み続けている地元の人たちは自分たちの街をより良くして行こうという気持ちが強い傾向にあります。面倒な人付き合いをしたくない方は、マンションの方が適しているかもしれませんね。
3. まとめ
マンション、一戸建てそれぞれメリットとデメリットが多くあります。こちらを優先すると、あちらは妥協しなければいけない。一長一短の住まい探しです。今回挙げたものも一般的な例であり、実際にはそれぞれ見に行ってみないと分からないことも多くあります。その中でご自身、ご家族で、譲れない部分に焦点を当てながら、どちらが自分の暮らしや将来に適しているかを考えることが大切です。セキュリティとバリアフリーが重要だという方にはマンションがオススメですし、自由に自分の家をカスタマイズしたい、子どもが走り回れる家が良いという方には一戸建てがおすすめです。どちらにも言えることは、購入の前に少しだけ資産価値のことを考えておくと良いということです。
ライフプランニング協会では理想とする暮らしから、マンションと一戸建てのどちらの暮らしが適しているかのご相談もお受けしております。ご気軽にご相談下さい。